2013年12月26日木曜日

市への予算要望書提出と話し合いを行いました

「100Bq/kg超の汚泥焼却灰を南本牧処分場に埋め立てない」

hamaosen対策協議会では、これを民主的な方法で実現・解決することを目的に活動しています。

この方針は、「港の安全を守る連絡協議会」の見解と合致しています。
http://hamaosen.blogspot.jp/2013/08/blog-post_19.html
 http://hamaosen.blogspot.jp/2013/07/blog-post.html  参照)

この目標に沿って、12月25日に市への予算要望書提出と話し合いを行いました。

話し合い:
今回は、9月に市が新しい方針案(埋立場所を海面から処分地の陸地部分への
変更http://hamaosen.blogspot.jp/2013/09/blog-post_20.html)を発表した後、
初めての話し合いとなりました。市当局の見解は、

 (1) 時間切れを理由に埋立を強行することはない
 (2) 埋立以外の別案はない
 (3) 別対策、保管費用など、予算案は白紙
 (4) 今後も市民・関係者への説明を続ける

予算要望書:
時間切れによる埋立強行を回避するため、新たに発生する焼却灰の北部汚泥資源
化センターへの回送・保管の費用を確保して欲しい、という趣旨となっています。

東電が横浜市に放射線対策費を支払いました


横浜市は、12月24日、
「平成25年12月20日、東京電力より「23年度放射線対策に要した経費」のうち、請求額の一部である約4億9千万円が支払われました。」
と発表しました。
http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201312/20131224-044-18079.html
http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201312/images/phpLc1fp7.pdf
4億9500万円のうち、 汚泥焼却灰保管経費、放射線測定器購入 等、
下水処理関係の額は4億を超えています。
     下水道事業会計 408,135,698 円


神奈川新聞記事:
【東電が市に4回目の放射線対策費を支払い/横浜】
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1312240014/
横浜市は24日、東京電力に請求していた福島第1原発事故に伴う2011年度
の放射線対策費用計約13億円のうち、約4億9500万円が支払われた、と発
表した。通算4回目の支払いで、今回の分を含め支払総額は約6億9200万円
になる。
市財政局によると、東電が支払ったのは下水汚泥焼却灰の保管経費や放射線測定
器購入費用、焼却工場や最終処分場における放射線測定費用など計約4億950
0万円。20日に支払われたという。
市は11年度分約13億円のほか、12年度分として約22億4400万円を東
電に請求している。

2013年9月20日金曜日

横浜市が初めて代替案を提示


横浜市の汚泥焼却灰問題を議論する委員会には、市議会議員11名で構成される「温暖化対策・環境創造・資源循環委員会」というものがあります。その常任委員会が昨日行われました。2年前の方針を初めて修正した提案が行われました。(議員リストはここ

以下は、神奈川新聞記事です。

下水汚泥焼却灰埋め立て 処分場陸地に変更検討、内水面凍結で代替案/横浜市

2013年9月20日
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1309190053/


住民らの反発で放射性物質を含んだ下水汚泥焼却灰の埋め立て計画を凍結している横浜市は19日、今後発生する汚泥焼却灰の埋め立て場所について、南本牧廃棄物最終処分場(中区)の内水面から陸地部分に変更する代替案を明らかにした。凍結から2年。保管スペースが限界に近づく中、市は膠着(こうちゃく)状態の打開に向けて新たな方策を提示した。今後、近隣住民や関係者に説明し、理解を求めていく方針。同日開催の市会常任委員会で報告した。

 市環境創造局によると、7月末時点で北部汚泥資源化センター(鶴見区)の焼却灰は1キロ当たり626ベクレル、南部汚泥資源化センター(金沢区)は494ベクレルと国が示す埋め立て可能とする基準値(8千ベクレル以下)を下回っている。

 また、7月末時点で両施設にコンテナ詰めで保管されている焼却灰の量は計約2万6500トンに及ぶ。現在も1日約40トンのペースで焼却灰が発生しており、このうち10トンは改良土として有効利用され、残り30トンが両施設で保管され続けている。来年3月には保管するスペースがなくなる見通しという。

 こうした点を踏まえ、同局の荻島尚之局長は委員会で「最高で約6500ベクレルだった放射能濃度は10分の1ほどに下がっている。当初に比べるとかなり安全性が高まっている」と説明。「市民、関係者に安心してもらうため、現状を丁寧に説明する中で意見交換をしていきたい」と述べた。

 市は2011年9月、「国の基準を下回っている」として、同処分場の内水面に埋め立てる方針を示したが、地元の反発を受け計画を凍結している。

 環境創造局によると、南本牧処分場で埋め立てによってできた陸地部分を圧縮するなどし、焼却灰の埋め立て場所を確保するという。委員会で荻島局長は「下水汚泥焼却灰に含まれるセシウムは水に溶出しにくいということは試験で確認している」と説明。その上で「内水面ではなく、陸の上できちんと処分できればより安心してもらえると考えた」と話した。

 市が新たに検討を始めた方策について、1キロ当たり100ベクレル以下を厳守するよう求めてきた横浜港運協会は「内水面や陸地など投棄場所の問題ではない」とコメント。「私たちの要求する基準が堅持されなければ、認めることはできない」としている。

2013年9月15日日曜日

横浜市第3回定例会のビデオが公開されました

9月10日の横浜市平成25年第3回定例会、本会議(第1日)のビデオが公開されました。
横浜会インターネット中継平成25年第3回定例会 → 議案関連質疑

汚泥焼却灰問題に関する個別質疑へは、下記の各議員リンクから直接行けます。
関連するのは、「市第57号議案 平成25年度横浜市下水道事業会計補正予算(第1号)」です。
基本の質問は通告内容どおりです。

市長の回答は、新聞記事どおり今後も「丁寧な説明」を行っていく、「放射性物質を含む汚泥焼却灰等の処分に関する安全評価検討書」は十分という立場でした。本ブログでも紹介しているような「関係者一同を集めた検討会の開催」は否定、個別に対応するとのことでした。




斉藤(達) 議 員( 自民党 )
http://gikaichukei.city.yokohama.lg.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=3493
全部で33分、うち関連質問は20分~ 22分20秒。
・東京電力への賠償請求と金支払い状況
・今後の下水汚泥焼却灰の取扱いにつての考え
市長の回答は30分35秒~31分40秒


平 野 議 員(みんな)
全部で20分、うち関連質問は 11分30秒~14分
・下水汚泥焼却灰の今後の取り扱い
・下水汚泥焼却灰の処分、国への共通埋め立て処分他の設置の働きかけの方向性
(「丁寧な説明」でない回答を、と発言)
市長の回答:17分27秒~18分40秒


井 上 議 員(無所ク)
http://gikaichukei.city.yokohama.lg.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=3498
質問時間は14分、すべてが汚泥焼却灰問題に関する質疑になっています。
市長の回答は4分~ 10分20秒
回答概要:・丁寧な説明を継続。地元への説明に対する質問は1件
・協議会ではなく、個別に対応
・除染技術の調査、国の情報を収集。市では独自に有識者への評価を行った。
・東電への賠償は引き続き求めていく

井上議員の再質問10分45秒~11分33秒
市長の回答12分~13分25秒
・懸命に市民の安全を考えている。懸命に努力。
・進展がないとは考えていない。
・責任を持って解決した。今、話せないこともある。
・プロセスを大事に


2013年9月11日水曜日

林市長:「引き続き丁寧な説明を行い、できるだけ早期に解決したい」

昨日9月10日に、横浜市の平成25年第3回定例会、本会議(第1日)が行われました。
http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/notice/250909.pdf
2期目を迎えた林市長に対し、汚泥焼却灰問題に関する質問がありました。
中継録画議事録公表までには多少時間がかかりますので、新聞記事で内容を紹介します。


神奈川新聞:

焼却灰問題:林市長「引き続き丁寧に説明」、解決へ前向き強調/横浜市

2013年9月11日

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1309110019/

  横浜市が放射性物質を含んだ下水汚泥焼却灰の埋め立て計画を凍結して2年が経過している問題で、林文子市長は10日、「全く進展していないとは考えていない。私が責任を持って解決したい」と述べ、解決に向け前向きに取り組む姿勢を強調した。

 市環境創造局によると、2011年9月に「セシウムが国の基準を下回っている」として南本牧廃棄物最終処分場(中区)に埋め立てる方針を示したが、地元の反発を受け凍結。ことし7月末時点で市内2カ所の汚泥資源化センターに計約2万6500トンを保管中で、来年3月には保管場所がなくなるという。

 林市長は埋め立てに向けた取り組みについて「市民や関係者に安心していただけるよう、63回の説明や見学会を行ってきた」と説明。「地元の皆さまが心配されていることは十分理解している」と配慮をのぞかせた上で「引き続き丁寧な説明を行い、できるだけ早期に解決したい」と述べた。

 また林市長は、東京電力に対し市全体として計約35億5千万円を請求しているが、これまでに支払われたのは約2億円にとどまっていることを明らかにした上で、「全額が速やかに賠償されるよう東電に強く求めていく。支払いが行われなければ国にも働き掛けを行い、法的対応も含め検討する必要がある」と述べた。

 同日の市会本会議で斉藤達也氏(自民党)、平野和之氏(みんなの党)、井上さくら氏(無所属クラブ)の質問に答えた。

 

東京新聞:

横浜市議会開会 林市長 放射性汚泥処理 具体的方針示さず

2013年9月11日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130911/CK2013091102000138.html

 横浜市の九月定例市議会が十日開会し、林文子市長は二期目の所信表明で「皆さまの熱意と力がオール横浜として発揮されれば、どんな困難も乗り越えられる」と、市政運営への協力を求めた。
 議案質疑では、保管場所が来年三月で一杯になる放射性セシウムを含む下水汚泥焼却灰の処理方法をただす質問が相次いだ。林市長は「市民や関係者に丁寧な説明をしているところ。できるだけ早期に解決したい」と繰り返し、具体的な方針は示さなかった。
補正予算案は、災害時に避難場所になる特別養護老人ホームなど約四十カ所に、国の補助で太陽光発電設備と蓄電池を設置する基金として約六億円を計上した。 (橋本誠)



横浜市議会の情報:


以下は、通告(議案関連質疑)です。 各議員からの質問内容が記載されています。
関連質問は下記3議員からありました。
斉藤(達) 議 員( 自民党 )
市第57号議案 平成25年度横浜市下水道事業会計補正予算(第1号)
・東京電力への賠償請求と金支払い状況
・今後の下水汚泥焼却灰の取扱いにつての考え

平 野 議 員(みんな)
市第57号議案 平成25年度横浜市下水道事業会計補正予算(第1号)
・下水汚泥焼却灰の今後の取り扱い
・下水汚泥焼却灰の処分、国への共通埋め立て処分他の設置の働きかけの方向性

井 上 議 員(無所ク)
市第57号議案 平成25年度横浜市下水道業会計補正予算(第1号)
・下水汚泥焼却灰を保管せざる得なくなっている理由
・「丁寧な説明をする」と言ってもう2年経つが、解決に近づいかどうかの市長見解
・地元連合町内会はセメント社が引き取りを再開するレベルにならければ南本牧廃棄物最終処 分場での最終処を認め ないとしてるこ受け止
・港湾事業者・労働組合ともに故前基準の放射性セシウム100Bq/kg未満でなければ南本牧廃棄物最終処分場での最終処分を認めないとしてる ことの受け止め
・汚泥焼却灰については東京電力株式会社の基準でも100Bq を超えるもの保管費用は賠償すことなっており、関係者が求めいる100Bq/kg 基準の妥当性について考え
・今年度末には保管場所が無くなるとしてきた、その合地元や港湾事業者理解得られくても南本牧廃棄物最終処分場への埋め立を行う選択肢有無
・市以外の 関係者を含む「協議会」設置港湾事業から要請を検討せずに個別対応こだわる理由
・汚泥焼却灰の除染方法等民間からのより広い技術提案募集
・これまでとは違う方針の検討
・これまでの 東京電力株式会社へ賠償請求額及び東京電力株式会社からの支払 い額と、支払いが いまだ市請求の 5% 程度しかないことへの見解
・東京電力株式会社への賠償請求について法的措置検討
・東京オリンピック招致を進める中、これ以上湾に放射性物質拡散させないよう本市が率先して対策を進めることが国際都市の名にふさわいう考えへの見解


2013年8月29日木曜日

神奈川新聞記事「林スタイル 横浜市政2期目へ」


投票率が過去最低を更新した横浜市長選が終わり、林文子氏が2期目を迎えました。
汚泥焼却灰問題は、横浜の政治課題の1つとなっています。

神奈川新聞に「林スタイル 横浜市政2期目へ」という記事が掲載されましたので、紹介します。
(8月29日朝刊)


林スタイル 横浜市政2期目へ ㊦

求められる選択、決断

財政運営


(前半略)

・・・経済人などで構成する市長を支援する政治団体トップの野並直文は、6月の出馬会見で称賛した。

だが、「政治家」としての資質を問う声もある。

横浜市が市内に保管している放射性物質を含んだ下水汚泥焼却灰は7月末時点で計約2万6500トン。当初、「セシウムが国の基準を下回っている」として埋め立てる方針を示したが、地元の反対を受け凍結したままだ。保管場所は来年3月、”限界”を迎える。
ある市議が言う。「政治家は泥をかぶる覚悟で決断すべき時がある」

 (以下略)






2013年8月20日火曜日

林文子氏から回答が来ました

先日提出した質問状に対する返答を、依頼した期限どおり本日受け取りました。
担当の相原さんにお聞きした所、この回答は林文子氏も承知している、とのことでした。
まずはそのまま公開いたします。(印刷物pdfだったので文字おこししました)



(1枚目)
質問状(書)に対する回答
平成25年8月14付林文子に対する質問状(書)に対し、別紙のとおり回答書を送付いたします。
林文子事務所
〒231-0007
横浜市西区弁天通4-53-2
DOMONビル2階
Tel. 045-228-9780
担当 相原 直樹

(2枚目)
下水汚泥焼却灰については、「放射線物質を含む汚泥焼却灰等の処分に関する安全評価検討書」の内容を分かりやすく説明した資料を用いて、市民の皆様や関係者の方々に丁寧な説明を行っており、それぞれのお考えや、ご意見があることについては、担当部署からうかがっています。

今後とも丁寧な説明を続け、できるだけ早期に解決していきたいと考えています。

補足1:
評価検討書の名称は、「放射性物質を含む・・・」が正しいのですが、「放射線物質を含む・・・」と記載されていました。

補足2:
「平成25年8月14付」とありますが、原文どおり記載しました。




2013年8月19日月曜日

市長候補林文子氏への質問状:回答してもらえるか不透明

14日に提出した林文子氏への質問状について、20日までに回答いただけるかを確認しようとしています。16日、18日と手分けして再度選挙事務所を訪れ、19日(本日)は電話で確認しました。現状は、「受け取ったことは確認した」「(選挙日前までに)答えられるかわからない」とのことでした。

状況は適時、本ブログで発信します。

汚泥焼却灰問題を説明する東洋経済記事

hamaosen対策協議会の活動は間もなく2年になります。その経緯をわかりやすく、かつ関係者の話も含めて紹介された記事が出ましたので紹介します。
(元の記事には写真もありますが、ここでは文章のみ)

http://toyokeizai.net/articles/-/17656

行き場を失う、横浜市の放射能汚染焼却灰

市長選を前に、住民や港湾業者が“異議申し立て”

岡田 広行 :東洋経済 記者
岡田 広行おかだ ひろゆき
東洋経済 記者
2013年08月18日


横浜市内の下水処理場で発生した汚泥のリサイクルを手がける「南部汚泥資源化センター」(横浜市金沢区)----。巨大なタンク群や焼却施設が立ち並ぶ一角に、下水汚泥を焼却してできた灰を収納したコンテナが2段重ねでびっしりと積まれている。

「このままでは来年3月末には焼却灰の置き場がなくなる。ハラハラしながら業務を続けている」。施設を案内しながらこう話すのは、横浜市環境創造局下水道施設部の野村茂・南部下水道センター担当課長だ。

コンテナは1日に3基ずつ増えていき、取材で訪れた5月9日には1500基に達していた。横浜市によれば、現在、汚泥焼却灰は南部および北部(鶴見区)の資源化センター合計で約2万5500トン(6月末現在)も存在し、コンテナの数は約2000基にのぼるという。


わずか5日で撤回された、埋め立て計画


東日本大震災以前に、全量がセメント原料や土木工事の改良土として用いられていた下水汚泥焼却灰は、「リサイクルの優等生」とされてきた。それが「厄介者」に一変したのは、福島第一原子力発電所事故がきっかけだった。首都圏にも放射性物質が降り注ぎ、下水汚泥焼却灰に濃縮された。ピーク時の2011年5月19日には北部センターの汚泥焼却灰から1キログラム当たり1万3056ベクレルの放射性セシウムが計測。南部でも同6月16日に、6468ベクレルの最高値を記録した。

こうした中で、11年5月下旬にはセメント会社が汚泥焼却灰の引き取りを拒否。やむなく横浜市は、専門家による安全性評価を踏まえたうえで海面の廃棄物処分場への埋め立てに踏み切ろうとしたが、突然の話に周辺住民や処分場の跡地利用を予定していた港湾業者が猛反発。林文子市長が謝罪するに及んで、埋め立て計画は公表からわずか5日でとん挫した。11年9月14日のことだ。

以来、焼却灰の埋め立ては「凍結状態」(小浜一好・横浜市環境創造局下水道施設部長)が続き、行き場を失った焼却灰がコンテナ保管の形で増え続ける形になっている。
 
凍結宣言から2年近くが経過した今年8月6日、汚泥焼却灰の埋め立てに反対してきた港湾業者や地元町内会、市民グループ、漁協支部などが一堂に会して「港の安全を守る連携懇談会」を発足。25日の横浜市長選挙を目前に、「関係者一同を集めた検討会の開催」などを求めて行動していく方針を決めた。

住民や港湾業者団体、市民グループが反対姿勢を貫くのにはそれぞれ理由があるが、ともに問題として挙げているのが「8000ベクレル以下であれば埋め立て自体に問題はない、とする市の姿勢」(大谷賢治・ハマの海を想う会政策部長)だ。

東日本各地の下水汚泥から高濃度の放射性物質が検出されたことを受けて国が11年6月16日に示した「考え方」では、放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8000ベクレル以下の汚泥焼却灰を埋め立て処分したうえで跡地利用する場合には、個別に安全性を評価したうえで、長期的な管理の方針を検討していればよしとされた。この考え方は放射性物質汚染対処特別措置法が全面施行された12年1月以降も変わっておらず、横浜市の処分方針も国の考え方を踏まえたものだ。

ところが、地元住民や港湾業者にとっては、埋め立て処分そのものが「寝耳に水」(岩村和夫・本牧・根岸地区連合町内会会長)に等しいものだった。

11年9月15日の埋め立て開始を前にした8日の晩、岩村氏の自宅に突然、市役所の担当課長から電話がかかってきた。「急を要する話がありますので、明朝9時にご自宅にうかがいたい」。怪訝に思った岩村氏だったが、翌日その内容を知って腰を抜かさんばかりに驚いたという。

「実はこれまで放射性物質を含んだ汚泥焼却灰を、2700トンほど保管してきました。安全が確認されたので、9月15日以降に南本牧廃棄物最終処分場で埋め立てを開始します。ついてはご了承を願います」

市の担当者の説明を聞いた岩村氏は、「ちょっと待っていただきたい。8000ベクレルと言われても、何のことかわからない。賛成反対以前の問題だ」と抗議した。


港湾業者も反対を表明


同時期、運送会社や倉庫会社など約250社で構成する、横浜港運協会(藤木幸夫会長)にも、下水汚泥焼却灰埋め立ての話が舞い込んできた。報道機関向け発表前日の9月8日に港湾局の担当者が突然、協会にやってきて、「南本牧最終処分場の件ですが」と切り出した。「焼却灰を新たに投入したい。安全なものなので承知してください」と市の担当者は語ったという。

応対した水上裕之・横浜港運協会企画部長は、その話を聞いて絶句した。「市が作成したペーパーを読んでみると放射性物質を含む焼却灰だという。

「『本当に大丈夫ですか』と聞いてところ、きちんとした説明がなかった」(水上氏)。そして「今まで灰はどうしていたんですか」と水上氏が問いただしたところ、「原発事故後、セメント会社が受け取ってくれずに困っている」との説明があった。そこで水上氏が「安全だというのならば、セメント原料として引き取るはずなのでは」と尋ねたものの、ここでも明確な答えはなかったという。

それからわずか6日後の9月14日、林市長自らが協会に駆け込んできた。

「会長、ごめんなさい。埋め立ては凍結します」と林市長。自身の後援会長でもある港運協会の藤木会長を前に、林市長は「説明不足」を詫びた。下水汚泥焼却灰をめぐる問題について、それまでの間に林市長と藤木会長の間に意思疎通はなかったという。

このように横浜市は当初からつまづいた。その後、住民向けの説明会や施設の見学会、横浜港運協会との勉強会など、関係者との協議を重ねてきたものの、いまだに一致点を見出すことができないでいる。

市は「国の考え方は妥当」と住民に説明する一方、国には神奈川県や県内のほかの自治体とともに「緊急要望書」を11年11月1日付けで提出している。そこでは「日々増え続ける汚泥焼却灰に県民から不安の声が上がっている」こととともに、「1キログラム当たり8000ベクレルの『比較的低濃度』の汚泥焼却灰についても国が具体的な処分方法を明示し、国の責任で最終処分場を確保すること」「処理に当たって安全性が確保される基準値を法令で定め、国が示した基準に基づく処分の安全性について国民に十分な周知を図ること」などが述べられている。

しかし、国は「8000ベクレル」を金科玉条とする一方で、実効性のある対策が打ち出されないまま現在に至っている。

前出の水上氏が厳しい口調でこう語る。

「かつてアスベスト問題では、われわれ港湾事業者や労働者は、国がいっている『安全』を信じてひどい目に遭った。今回の原発事故でも外国の貨物船が横浜港への入港を避ける動きが相次ぐなど、風評被害で大変な苦労をした。そうした苦い経験があるうえ、放射能で汚染された焼却灰が埋められた跡地が安全だとの確信が持てない以上、埋め立て処分を容認することはできない」

問われる林市長の指導力


原発事故から2年半近くが経過する中で、汚泥焼却灰に含まれるセシウムの濃度は確かに下がってきている。8月1日のデータでは、北部センターの汚泥焼却灰の濃度は1キログラム当たり604ベクレル、南部センターのそれは494ベクレルに低下している。しかし、横浜港運協会が主張する「(再利用の基準である)1キログラム当たり100ベクレル以下」にはほど遠く、セメント会社もいまだに引き取りを拒否している。

廃棄物問題に詳しい森口祐一・東京大学大学院教授は、「1キログラム当たり8000ベクレルでの線引きは、原発事故後に汚泥処理が立ち行かなくなる中で暫定的に決められたもの。ワーストケースを想定した場合の被曝量から導き出されたものの、決定過程がわかりにくく、不信感が残った。事故以前からの再生利用の基準と比べた場合に基準緩和に見えるうえ、全国一律の運用でよいのかどうかの議論はなされなかった」と指摘する。

「国の安全基準は満たしている。住民の皆様にはご理解いただくしかない」(市担当者)というだけでは、解決の糸口を見出すのが難しい。人口380万人の巨大自治体を束ねる林市長の指導力、そして住民や事業者との対話能力が問われている。

http://toyokeizai.net/articles/-/17656
http://toyokeizai.net/articles/-/17656?page=2
http://toyokeizai.net/articles/-/17656?page=3
http://toyokeizai.net/articles/-/17656?page=4



2013年8月15日木曜日

hamaosen対策協議会として、横浜市長選挙にあたり、林文子候補に質問状を提出

2013年8月14日、横浜市長候補 林文子氏に対し、hamaosen対策協議会として質問状を提出しました。返答期限は20日としています。(11日公示、25日投票のため)

質問状は下記のとおりです。
回答状況などは、別途本ブログで報告します。

提出先:
    林文子 事務所
    横浜市中区太田町 4-47コーワ太田町ビル6F
    電話:045-222-6888 FAX:045-222-6877
    http://www.hayashifumiko.com/





横浜市長選挙候補 林 文子 様

「保管中の放射能汚染下水汚泥焼却灰の保管、および、南本牧最終処分場における放射能汚染焼却灰の処分問題について」ご質問

20119月、市当局が放射能汚染された下水汚泥焼却灰の南本牧最終処分場への処分を、市民、港湾関係者への簡単な通知のみで開始しようとしたため、市民、港湾関係者は強い反対の意思を示しました。この際、反対意見に耳を傾け、市長判断で処分凍結・保管へ政策転換させた林様の決断を、高く評価致しております。
しかしその後も、市当局では「南本牧への最終処分」を唯一の打開策とし、市民、港湾関係者に「説明して理解を得る」という基本姿勢を崩しておりません。一方、2013730日の神奈川新聞、87日の読売新聞記事のとおり、港運協会、港湾労組の労使が横浜港の安全を守るために協調し事故前基準の適用を強く求めています。また同様な立場の連合町内会、市民団体を含めた連絡会が86日に開催されました。このように民間・市民の意見はまとまりつつある一方、市当局の基本姿勢は何も変わらず、20119月と同様、平行線のままです。
林様が201294日の東京新聞記事取材に「だんだんと理解が進んでいる」とお答えになった状況とは残念ながら異なります。これは、当局が林様に正確な状況報告を行っておらず、その結果発生した齟齬であろうと多くの関係者が推察しております。

このような状況を踏まえ、投票参考のため、現職市長としての当局を含む市政を代表するお立場ではなく、市長選候補者政治家林文子様の個人のご意見にて、以下質問にご回答頂きたく、お願い申し上げます。

1.  関係者理解について、以下のような状況をご存じでしょうか?
(1)  地元連合町内会はセメント会社が引取りを再開するレベルにならなければ、南本牧での下水汚泥焼却灰の最終処分を認めない。
(2)  港運協会、港湾労組は事故前基準の100Bq/kg未満でなければ、南本牧での下水汚泥焼却灰の最終処分を認めない。また、市当局に当局以外の関係者も含む本問題の「協議会」設置を港運協会が要請し対応が取らないため、市当局と港運協会の本問題の勉強会が中断している。
2.  2013227日の本会議で望月公徳市議の質問に、市長として林様は「(本問題に対する)新たな保管や処分方法は検討していない」と答弁されていますが、林様個人としては、本問題の解決に向けた新しい対策や、その検討の必要性についてはどのようにお考えになりますか?

上記の通り投票参考とさせて頂く関係上、ご回答は820日までにお願いいたします。
2013/8/14  hamaosen対策協議会

2013年8月12日月曜日

7/30の神奈川新聞記事がweb掲載されました

2013年8月12日に、7月30日の神奈川新聞の記事(紙面)がweb掲載されました。
(文章は同じようですが、念のためコピペしておきます。)



横浜市の汚泥焼却灰問題 埋め立て計画凍結から2年も進展なく/神奈川
2013年8月12日
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1308110032/

 横浜市が放射性物質を含む下水汚泥焼却灰の埋め立て計画を凍結してから9月で2年を迎える。横浜港の事業者でつくる横浜港運協会(中区)などは、埋め立 てに反発する市民団体がそろった連絡協議会を設置して協議を進めるよう市に要望を続ける一方、市は個別に説得することで了解を取り付ける方針を崩していな い。焼却灰の保管場所が日々狭まる中、事態の進展はみられていない。

 6月末時点で北部汚泥資源化センター(鶴見区)の焼却灰は1キロ当たり387ベクレル、南部汚泥資源化センター(金沢区)は784ベクレルと国の基準値 の8千ベクレル以下を大きく下回っている。市は安全性を強調し、南本牧廃棄物最終処分場(中区)への焼却灰埋め立てを早期に行いたい考えだ。

 これに対し、横浜、川崎、横須賀の各港運協会でつくる神奈川港運協会(中区)は1キロ当たり100ベクレル以下を厳守するよう要求を続けている。その上 で、市への要望が受け入れられないとして、町内会をはじめとした市民団体との連絡協議会を独自で組織することで調整を始めた。

 横浜港運協会の担当者は「事態を進展させるためにも、勉強会といった名目で個別に説得に当たるのではなく、市としての考えを協議会の場で公表してほしい」と話している。

 市によると、6月末時点で南部センターでは1万6500トン、北部センターでは9千トンの焼却灰がコンテナ内で保管されており「保管場所の余地がほとん どない」(市の担当者)状態。これまでに使われた20フィートコンテナは合わせて2千本を超えており、8、9月に新たに700本のコンテナに詰め込む作業 が行われる。市によると、2014年3月末には満杯に達する見通しという。


放射性物資を含む汚泥焼却灰をコンテナに詰め込む作業員
=横浜市金沢区の南部汚泥資源化センター

2013年8月10日土曜日

読売新聞記事「焼却灰 埋まらない溝」

2013/8/7 横浜市長選の争点の1つとして、読売新聞が汚泥焼却灰問題を取り上げました。





2013年7月31日水曜日

神奈川新聞記事の情報「汚泥焼却灰問題 協議会設置求める」

2013年7月30日の神奈川新聞に、hamaosenに関連する記事がありました。
汚泥焼却灰問題 協議会設置求める
             横浜港運協など
 
 



 横浜市が放射性物質を含む下水汚泥焼却灰の埋め立て計画を凍結してから9月で2年を迎える。横浜港の事業者でつくる横浜港運協会(中区)などは、埋め立てに反発する市民団体がそろった連絡協議会を設置して協議を進めるよう市に要請を続ける一方、市は個別に説得することで了解を取り付ける方針を崩していない。焼却灰の保管場所が日々狭まる中、事態の進展はみられていない。
 6月末時点で北部汚泥資源化センター(鶴見区)の焼却灰は1キロあたり387ベクレル、南部汚泥資源化センター(金沢区)は784ベクレルと国に基準値の8千ベクレル以下を大きく下回っている。市は安全性を強調し、南本牧廃棄物最終処分場(中区)への焼却灰埋め立てを早急に行いたい考えだ。
 これに対し、横浜、川崎、横須賀の各港運協会でつくる神奈川港運協会(中区)は1キロあたり100ベクレル以下を厳守するよう要求を続けている。その上で、市への要望が受け入れられないとして、町内会をはじめとした市民団体との連絡協議会を独自で組織することで調整を始めた。
 横浜港運協会の担当者は「事態を進展させるためにも、勉強会といった名目で個別に説得に当たるのではなく、市としての考えを協議会の場で公表してほしい」と話している。
 市によると、6月時点で南部センターでは1万6500トン、北部センターでは9千トンの焼却灰がコンテナ内で保管されており「保管場所の余地がほとんどない」(市の担当者)状態。これまでに使われた20フィートコンテナは合わせて2千本を超えており、8、9月に新たに700本のコンテナに詰め込む作業が行われる。市によると、2014年3月末には満杯に達する見通しという。



2013年5月20日月曜日

会の名称について:これからの方針

わたしたちは、2011年9月に「南本牧処分場への放射性焼却灰海面埋立に反対する会」を発足、その後はより広い問題を議論したいと「hamaosen対策協議会」という名称を使って活動してきました。今後は、会の名前をhamaosen対策協議会に一本化した上で、横浜・南本牧への放射性焼却灰処分を考えていくことにしました。

  汚泥焼却灰の南本牧処分場への埋立凍結発表から1年半が過ぎました。
  凍結は今も続いています。

実は、汚泥焼却灰中のセシウム濃度は、事故後1年を過ぎた頃から800Bq/kg~1000Bq/kgレベルを推移し、あまり下がっていません。このため新しく発生する処分不能な焼却灰は増え続けており、コンテナ保管場所も限界に近づいています。それだけでなく、南本牧処分場側の埋立可能容量にも壁もあることを知りました。

埋立なければ汚泥焼却灰の保管場所がなくなる。かと言って、埋め立てると一般ごみの灰を埋め立てる場所を圧迫する。

こういった環境の中、わたしたちは埋立に反対するだけではなく、技術的・法律的に焼却灰はどのように処理できるのか、その可能性を「拡散しない」という制限の中で探ることが重要であると考えるに至りました。

ブログ更新の頻度は低いですが、わたしたちはこの問題に多角的に引き取り組んでいます。

(一緒に考えようと思ってくださる方は、hamaosen@gmail.com までご連絡ください)

2013年2月25日月曜日

南部汚泥資源化センターを見学

hamaosen対策協議会メンバーが、2013年2月22日、南部汚泥資源化センターにて、下水汚泥焼却灰の中間保管状況を見学しました。


埋め立て凍結から1年半。南部汚泥センターでは、その前の分を含めてすでに20ヶ月分以上の汚泥焼却灰がたまっています。

横浜市で出る下水汚泥焼却灰は、1日約40トン。
それは灰だけの量で、フレコンバッグに詰める時には3割くらい加水するので実際はもっと重くなります。
今は、1つのフレコンバッグの中に、700〜800キログラムくらい入れているそうです。
1つのコンテナには、そのフレコンバッグ20個入っているそうです。
想像以上に保管量が多く、保管スペースがかなり減ってきているので、早急に対策案の検討を始めないといけないと感じました。


2013年2月9日土曜日

「南本牧の放射能対策を考えるシンポジウム ~どうする横浜の廃棄物処分~ 」が開催されます

南本牧の放射能対策を考えるシンポジウム ~どうする横浜の廃棄物処分~ 」が開催されることになりました。

 日時:2013年3月2日(土) 14:00 ~ 17:00  
 場所:第5安田ビル会議室(2F)
   横浜駅西口・西北口 徒歩5分
 
「原発事故由来の放射性物質による環境汚染と廃棄物問題」
ゲスト講師:前(独)国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター長
        東京大学教授 森口祐一先生

「南本牧埠頭放射線汚染問題
      -港運事業の安全・安心を守る立場から」
ゲスト講師:横浜港運協会企画部長 博士(商船学) 水上裕之様


「横浜の廃棄物放射能汚染の現状と課題」
 講師:3.2南本牧シンポジウム実行委員会

参加費:500円(資料代として)

主催:
 3.2南本牧シンポジウム実行委員会
共催協賛に、hamaosenも入っています)


シンポジウムの最新情報は、http://y32symposium.blogspot.jp/ に掲載されます。



hamaosen から見たシンポジウムについて

2011年9月13日の市役所での南本牧への汚泥焼却灰埋め立て反対アクションと翌日の市長会見からもうすぐ1年半。市長が劇的な会見を行った背景には、横浜市の港運協会の反対も大変大きかったと聞いています。今回は、その港湾協会の企画部長の水上様のお話を直接伺うことができる初めてのチャンスです。

森口教授は、放射性物質の管理・処分や国の基準について、多くの発言をされてます。南本牧の埋め立て問題にも興味を持って頂いており、昨年10月16日にはhamaosenのメンバー数名で森口教授をお尋ねする機会を得ました。様々なお話の中で、複数グレード案のきっかけも頂いています。