現地レポート(引用)

南本牧最終処分場の現地レポートです。
以下の内容は井上さくら議員のブログからの引用となります。


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そこでは焼却灰が風に吹かれていた~南本牧処分場、現地レポート






残暑と言うには余りに暑い!日差しの中、今日は南本牧最終処分場に実際行って見てきました。
おととい、市長への抗議文提出などを行なった方たちとご一緒です。
まずは、処分場事務所で施設の概要や処分方法、そして今回の「決定」から「凍結」までの事などを所長さんからヒアリング。
その間にも窓の外に、次々と入ってくるトラックと浮き桟橋で行なっているゴミや灰の投入が見えます。
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・・・と、その場からツイッターに書き込んだら、「え!凍結したんじゃないんですか?」とお問い合わせが。

少し説明させて頂くと、凍結したのは今、横浜で最も高い濃度でセシウムが検出されている「下水汚泥の焼却灰」の埋立です。
これまでも、ここ、南本牧処分場は今横浜にある唯一のゴミ埋め立て地として、一般ゴミを焼却工場で燃やした後の灰や「燃えないゴミ」として出されたもの、産業廃棄物などが最後に行き着く場所になっています。
ですから、昨日の凍結発表とは無関係に、これまで投入していたものはドンドン運ばれてきます。

これが一般のゴミ焼却工場から出た焼却灰をトラックから投入した後。
(手前に見えるのは「燃えないゴミ」、奥のが焼却灰)
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「吹きっさらし」ですよね。

もし今回の【凍結】が無かったら、今日からここに6,000ベクレル/kgを超える焼却灰が置かれていたかもしれません。
(*記事の下にあるコメントの通り、下水汚泥焼却灰は浮き桟橋からの投入(最初の写真)を検討していたそうなのでここには置かれなかったかもしれません)

とは言え、今ある一般ゴミの物でも、焼却灰ですから有害物質が含まれています。
3/11以降は、放射性物質がそこに加わりました。
(主なゴミ焼却灰のセシウム合計濃度は高いところで480ベクレル/kg)
灰のすぐそばまで行きましたので、もちろんマスクをしました。
この一般ゴミの事も考えなければなりません。

こうして海面を仕切った中にゴミや灰を投入すれば、当然、中の水面が上がってきます。屋根は無いから雨も降り放題。
それで、この水が汚れたまま普通の海面へと溢れないよう、排水処理施設を通して海へ放流しています。
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排水処理施設も全て見せて頂きましたが、放射性物質を除去する機能はありません。
当然ですが、そんな物質が日常生活に入り込んではいけないと言う前提でできているからです。
今回の問題で、急きょ、いまは活性炭を入れているタンクの一つをセシウム吸着効果があるというゼオライトに入れ替える対策を検討しているそうです。
これがそのタンク。
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結構大きいタンクです。
「これで何%くらいのセシウムが除去できるんですか?」と聞くと
「調べて回答します」とのお答え。
「セシウムを吸着したゼオライトはどうするんでしょう」と聞くと
「決まっていないけれど、保管せざるを得ない」とのお答え。
ゼオライトはリサイクルできず、しかも使用後はセシウム付きゼオライトなので扱いが難しい・・・ふむふむ。
って!?
なんだか、おかしいですよね。
6,000ベクレル超というセシウムが濃縮された状態になっている灰を、わざわざ海面に投棄し、その水を濾過してセシウムを回収して、セシウム付きゼオライトをつくって保管、のような。
ゼオライトで吸着といっても全ての放射性物質を除去できる訳ではないから、必ず一般海水へと流出します。
また、処分場と一般海面を仕切る壁は水の浸透を防ぐ遮水性があるそうですが、底の部分は何も施していません。
「土丹層」という粘土質で遮水性が高い地質部分が底になっているとの事ですが、地下水への浸透はゼロとは言えないそうです。

現地を見て、ますますここに下水汚泥の焼却灰を投棄してはいけない、と思いました。

貯まり続ける焼却灰は今のままにしておく事はできません。
しかし、やっかいだからと、早く見えないところにやってしまおうというのは、間違っています。
目には見えなくても存在し続け、命を脅かします。
放射能は、目に見えず、においも味もしないからこそ、今はしっかりと目に見える状態で厳重保管するべきではないでしょうか。
焼却灰は、キケンなものであると同時に、目に見えない放射能に形を与えて管理を可能にしているとも言えます。
下水汚泥プラントに貯まる焼却灰も、仮置きという不安定な状態を改め、放射線をできるだけ遮蔽する堅固な施設に保管すべきでしょう。

悲しい事ではありますが、私たちは腰を据えて放射能と向き合うしかないのだと改めて実感。

そんな事を考えながら、私も風に吹かれてみました。
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立っている場所も廃棄物で造られた地盤です。奥の方が2枚目写真のゴミ投入場所。
目標高になった部分から上に路盤材などを敷き、飛散防止しています。