2015年1月30日金曜日

予算要望書を提出しました

本日、予算要望書を提出してきました。
市の方針は、100Bg/kg基準は評価するものの抜本的対策とはなり得ないと認識し、南本牧処分場の内水のセシウム分析精度の改善、緊急時のゼオライト吸着能力の把握、濃度上昇時の対策方法の検討を要請しています。

-----------------
横浜市長 林 文子 様

「放射能汚染された下水汚泥焼却灰」に関する予算要望書
                                                                                        ハマの海を想う会
                                                                                        hamaosen対策協議会

平成26年12月19日、市当局より市ホームページ上に発表された「放射性物質を含有する下水汚泥焼却灰の取扱い」における「1.下水汚泥焼却灰の埋立て処分について」(以下「今回市方針」という)に関し、ハマの海を想う会およびhamaosen対策協議会(以下「当2団体」という)は、市の上記発表における100Bq/kgの搬入基準は、従来から当2団体や港湾関係者共通の主張である「事故前から存在する100Bq/kg(クリアランス)」という処分容認の条件に事実上対応し、他自治体では実現していない定量的な搬入基準を設定したものとして、一定の評価のもと容認する方向で考えている。
一方下記の通り「積み残しの課題、問題点」が存在する認識のもと、その対応のために「平成27年度予算編成における予算要望」を提出し要望するものである。

Ⅰ. 積み残しの課題、問題点

1. 今回市方針により処分可能となる下水汚泥焼却灰は 26 年度分以降のものであり、現状における下水汚泥資源化センターの保管限界を超えることは回避される見込みである。しかし、現時点で保管対象となっている下水汚泥焼却灰のうち、大きな割合を占める平成25年度末までに発生したものについては対策が立案されていない。このため、保管の解消の決め手とはならず、下水汚泥資源化センターの周辺住民をはじめとした市民の、物理的、精神的、経済的負担は軽減されていない。

2. 今回市方針は、福島事故相当かそれ以上の下水の放射能汚染が再度発生することは考慮されていないと認識するが、もしこうした事態が発生した場合、上記 1.に述べたように、多くの継続保管された下水汚泥焼却灰が存在する状況では、市の下水道行政が機能不全を起こす可能性が高い。平成23年の東日本大震災発災時点においては廃棄物に関する諸制度や市政策の「想定外」であり、対策が後手に回ったことは、ある意味止むを得ないと認識するが、この経験が行政の計画に適切に生かされ、今回市方針の100Bq/kg搬入基準を遵守しつつ対応可能な体制を予め準備しておくことが当然求められる。

3. 下水汚泥焼却灰と一廃焼却灰の混合による 100Bq/kg の実現は一種の希釈であり、本来的には下水汚泥焼却灰、一灰飛灰等、現時点で100Bq/kgよりも高濃度な放射性セシウムを含む廃棄物に関しては、放射性セシウムの分離を行うことで100Bq/kg未満の状態とすることが望ましい。

4. 今回市方針により、南本牧最終処分場に処分される放射性セシウムの総量は増加することになるが、これにより最も心配されるのが、降雨等での溶出による内水の放射性セシウム濃度上昇と、排水による場外への再放出量の増加と認識する。現状、内水および排水の放射性セシウム度はともに10Bq/.の検出限界でモニタリングされているため、不検出となり、内水中の放射性セシウムの濃度やその遷移を把握することが出来ない。市は今回方針を採用するにあたり、内水の放射性セシウム濃度やその遷移を詳細に把握し、下水汚泥焼却灰の埋立との相関有無や、影響の程度について科学的事実を明らかにする必要があると認識する。また今回市方針による下水汚泥焼却灰の処分を容認する以上、当2団体は内水および排水の汚染状況に注目し、監視せねばならない立場にあると考えている。

5. 市は、内水中の放射性セシウム濃度が上昇した場合に備え、南本牧最終処分場に2つの設備(第二凝集沈殿槽におけるゼオライト粉末添加機構、ゼオライト吸着塔)を準備している。しかし浄化能力が不明であり、今回方針による影響も含め、運転の必要性が出た場合にこれら2設備か効果的な対策となりうるか不明である。

Ⅱ. 平成27年度予算編成における予算要望

1. 放射能汚染された下水汚泥焼却灰から放射性セシウムを分離する技術研究予算上記 積み残しの課題、問題点1.2.3.への根本的対策の調査・研究のため以下予算化されたい。
(1) 放射能汚染された下水汚泥焼却灰から、放射性セシウムを分離し今回市方針の100Bq/kg以下の廃棄物とする技術方式の調査・研究費用。
(2) 上記(1)処理により分離濃縮された、より高濃度な放射性セシウムの安全な取り扱いと、指定廃棄物等として保管を行う技術方式の調査・研究費用。

2. 南本牧最終処分場の内水および排水の放射能汚染に関する高精度なモニタリング予算
上記 積み残しの課題、問題点4.への対策として、南本牧最終処分場の内水および排水の放射性セシウム濃度のモニタリングについて、分析精度を現状の10Bq/kgから1Bq/kg未満とし、濃度の詳細な遷移を把握可能とするための費用を予算化されたい。
※尚、本対応については、可能な限り早く(例えば今回市方針による下水汚泥焼却灰の埋立開始以前に)対応することにより、今回市方針による対応との相関関係や対応の妥当性を明らかにすることが可能であるから、来年度予算にこだわらず、早期実現を推奨する。

3. 南本牧最終処分場の内水汚染を浄化する2設備の浄化能力試験の実施予算
上記 積み残しの課題、問題点5.への対策として、以下費用を予算化されたい。
(1)第二凝集沈殿槽のゼオライト粉末添加機構を試験運転させ、放射性セシウムの定量的な除去性能を把握する実機能力試験の費用。
(2)ゼオライト吸着塔を一定期間試験運転させ、放射性セシウムの除去性能と、充填されているゼオライト吸着材の吸着性能の経時変化や寿命を定量的に把握する実機能力試験の費用。