本日10月18日、市長宛に要望書を提出しました。
現在横浜には、放射性物質を含むガレキの受け入れの問題、ゴミ焼却灰一般など、緊急かつ重要な多くの問題がありますが、本会ではまずは南本牧処分場への海面埋め立てをフォーカスしていきます。
林 文子 横浜市長殿
2011年10月18日
下水汚泥焼却灰の埋立に関する要望書
南本牧処分場への放射性焼却灰海面埋立に反対する会(以下、本会)は2011年9月13日に市長宛てに「「下水汚泥焼却灰の埋立を実施します ~安全を確認~ 」への抗議」を提出いたしました。翌14日に、林市長から放射性焼却灰の海面埋め立てを凍結するとの発表があり、さらに22日に担当局の皆様にご説明頂き、意見交換もさせて頂きました。「市民が安心して納得しなければ(海面埋め立てを)実施しない。」との発言を頂いたことは、横浜市民の民意・不安を尊重頂いたと理解でき、まずは対応を評価致します。
さらに、9月30日に林市長が「民主党の輿石東幹事長や前田武志国交相らを訪問し、国の責任で最終処分場を確保するなどの対応を求めた」ということは、国策で推進された原子力発電所で起きた事故に対する責任を、地方が追及するという意味で、非常に大事な一歩だと理解致しました。
今後も横浜市は、市民の声を聞きながら、市民のための市政を推進して頂くことを期待いたします。
そして今現在、身近になってしまった放射能汚染の問題に、的確かつ迅速な対応を求められていることは、誰も否定できないと思います。それは行政のご担当も市民も同じです。最近ではストロンチウムが検出されたことが公表され、きめ細かな調査には、ますます行政と市民で、知恵を出し合いながら今回の放射能汚染危機に対応していく必要があると考えます。
以上の認識の元、放射性焼却灰の処分に関わり、下記のように要望を整理しましたので、よろしくお願い致します。(一部、22日の担当者との話し合いで依頼した内容に重複します)
(1) 基本方針として、横浜市は、今後新たな事実が発覚したり、技術向上で対策が可能となった場合にも、遡って対応できることを前提の対策を行って頂きたい
1. 灰をそのままの状態で、海面埋め立てを行うことは絶対に行わないで下さい。将来、より良い処分法が開発されたとしても、対処不能になります。
2. 現在焼却灰に含まれている放射性物質の核種が何であるか、詳細な把握をお願いします。詳細が不明であるため、今現在、今後の放射能がどのように減るのか、実際には見通しが得られておらず、実際何年後に無害化するのかわからないのではないでしょうか。(ヨウ素131、セシウム134、セシウム137は調査しているが、その他の核種については未調査と思われます。)
そしてたとえ固めたり容器に入れるなどしても埋め立ててしまうと、必要な将来期間、安全な状態で灰が保管されるか保証できません。たとえ固化して地中に埋めても圧力がかかれば壊れていきます。金属容器もいずれ朽ちることは明らかでです。
灰の中の放射性物質が特定され、さらに今後適切な処分方法が明らかになるまで、管理可能な状態での保管が望ましいのではないでしょうか。
3. いずれにしても、国が定めた基準は根拠に乏しいものが多いです。311以前の放射線許容量に従って対応して頂ければ、ある程度は安心できると思いますので、そのような対応も含め対応をお願い致します。
4. 横浜市内に東電の施設は数多くあります。居住地域から比較的遠い場所に、休止施設もあるようです。このような場所に中間保管施設として使用させてもらうことはできないでしょうか?
5. 中間管理・最終処分する場合は、必ず住民の理解を得てから実施するようお願い致します。(一方的な説明は、理解を得たとは言えません)
(2) 市民の安全のために、正確な情報をきめ細かく発信して頂きたい。
1. 正確な情報こそが冷静な判断につながります。市民を信じ、たとえ悪い情報であっても、その都度情報を提示して下さい。安易に「大丈夫だろう」とするのは、安心の逆に作用します。(給食での不安はこれでした。そして実際に計測したら最悪の事態になっていました。)
2. 市民から通報や依頼があった場合には、市として早急に測定し、広く公表するということを担保して頂きたい。例えば想定されるのは、焼却場近くでの空間線量や、今後、焼却灰が移動された場合の、周辺地域の汚染状況など。
3. 検査項目は、上記(ヨウ素131、セシウム134、セシウム137)に加え、
① ストロンチウム90
② プルトニウム239
4. 測定方法、測定下限値の公開
5. 発表頻度・間隔は、可能な限り直後、頻繁に。
6. 市民が信頼できる研究者(例えば低線量被曝、特にチェルノブイリの被害について詳しい方)をアドバイザに招いて欲しい。
7. ネット環境がない市民に対しても、タイムリーに情報がわかる体制を作って欲しい。また、広報よこはま 特別号「放射線特集」の訂正版を出して欲しい。
(3) 横浜市は、不作為のうちに放射能被害の加害者にならないで欲しい。
1. 市独自に調査し、市民の理解を得られるように努力して頂きたい。
放射能汚染の問題は、閾値で決められるものではなく、被曝はできるだけ避けるべきと言われています。ICRPでも一般市民の被曝許容量を5mSV/年から1mSV/年に引き下げています。日本でも、通常時は国民の被曝を年間1mSV以下にするよう求められています。つまり5mSV/年ではリスクが高すぎると判断されていたということです。より長期の調査によって、さらに低線量被曝でも問題が発生する可能性があります。
低線量被曝が、推定レベルであっても癌等の病気の発生率を上げると言われているのですから、できるだけ市民、特に子供を被曝させない対策をして下さい。(後のまつりとならないように)
放射線による病気は、癌以外にも多くの指摘があります。心臓病(チェルノブイリハート)は有名ですし、不妊症、膀胱炎、白血球の低下(およびそれに伴う免疫力低下)、肺炎、白内障、脳の発達障害、糖尿病、すい臓がんなども指摘されています。
2. 人類と撒き散らされた放射能との「付き合い」は日本人の平均年齢にも達していません。従って、まだ本当の意味で放射能が生物に与えるダメージを、人類は経験も理解もしていません。それにもかかわらず、すでに放射能汚染は、長期間、世代を超えて、DNAにダメージを与え、癌ばかりでなく様々な疾病を引き起こすと言われるようになりました。将来にわたり、できるだけ問題が発生しないよう、横浜市では今知られている限り最善の努力で、身近にある放射性物質への対応をお願い致します。
例えば水俣市は水銀汚染で、世界的に有名になってしまいました。汚染と病気との因果関係はわからないが、推定原因がわかった時点で念のための対策をしていれば、この不幸は軽減されていたでしょう。被害が実証された時では遅いのです。
(4) 横浜市は、周辺の市や神奈川県などにも、市民へ寄り添った対策を行うようアピールして欲しい。
1. 市が率先してこのような対策を行うことによって、市が市民のために対策ができるということをアピールし、林市長・横浜市がこれまで受けてしまった汚名を、この期に返上して頂きたい。
2. 9月14日の市長の埋め立て凍結宣言は、大きな注目を浴び、多くのメディアで取り上げられました。(神奈川新聞、東京新聞、朝日新聞、TBSテレビ、TVKテレビなど。またネットでも大きく取り上げられています。)こうして世の中を動かしつつあります。引き続き、行政・市民が一丸となっての対応をお願い致します。
3. 海も空気も行政境界とは無関係につながっています。この問題は、横浜市だけで対策するのではなく、近隣地域との取り組みでより効果があがると思います。
4. 横浜市は、神奈川県の一部であるため、県との連携も重要になります。県立高校や県所管の施設で、上記の対策が同じように行われるよう働きかけもお願い致します。
(5) 南本牧処分場への焼却灰搬入・埋め立ておよび焼却場における放射能管理には、最新の研究成果を取り入れた基準での対応を行って欲しい
1. 焼却灰の処分について、関連する地域、港湾関係者、漁業関係者はもとより、広く市民が参加できるオープンな説明会を実施してほしい。
2. 焼却場の煙、飛灰の中の放射線対策を実施して欲しい。特に、低線量の内部被曝の体へのダメージが少しずつ明らかになりつつある研究成果を踏まえ、安全サイドにたった対策を実施して欲しい。
3. 放射性物質を含む瓦礫の受け入れを拒否して欲しい。焼却した場合の煙への放射性物質の放出が懸念される。また放射性焼却灰の運搬も、周辺への影響が心配される。(灰は受け入れない、という発言を頂いているため、煙および灰の運搬のみ記載)
4. 今回の様々な対応で市は市民からの税金を対策に使用せざるを得ない状態になっている。これをしっかり東電に請求して欲しい。
5. 国の暫定基準ではなく、将来も安心できる横浜の基準を作って欲しい。例えば、児玉教授は放射性物質の管理には人工バリア型処分場に保管すべきとの発言を行っています。
(6) 9月22日に質問した項目および追加で下記へ回答を頂きたい(上記に含まれない項目)
・安全性を確認したという学者への報奨費の額
(田中知教授、大迫政浩センター長、木村英雄研究主幹)
・すでに行ったという東電への申し入れ日(凍結発表前か後か)
・有識者を市民から推薦したい。
・ 9月22日に、灰を試験的に水に溶かして実験を行ったが水からは放射性物質が検出されなかった旨、発言がありました。その後、セシウムもストロンチウムも水溶性であると聞きました。どんな実験を行ったのか、詳細を教えて頂きたい。
・ 「有識者」が作成した「放射性物質を含む汚泥焼却灰等の処分に関する安全評価検討書」の前提データを示して欲しい。
・ 以上を中心とした対策に関する説明会を実施して頂きたい。
我々は、安心してこの港横浜に住み続けたいと願っています。将来にわたり、横浜市が安全で快適な街であって欲しいと願っています。
以上の要望と質問の各項目について、文書による回答をお願いします。
参考情報(焼却灰処分関係):
児玉教授が、横浜の汚泥焼却灰処分に関してコメントしています。
〇 汚泥焼却灰は100ベクレル/Kg以上は処理対象とするべき
〇 人工バリア型処分場、諸外国の実施例を参考にすべき
〇 コンテナーに入れた上で遮水を完全に行う、モニタリングが出来なければいけない
〇 盛り土をして100年は監視しなければいけない
武田邦彦氏はブログにて「横浜では市民の方の努力で重い腰をあげてこのような作業が始まったものと思います。」と過去の対応を非難しながら、改善を期待しています。
http://takedanet.com/2011/09/post_d253.html
その他の参考情報:
「東京大学環境放射線情報」を問う東大教員有志のページ
https://sites.google.com/site/utokyoradiation/
(大学側に大学教員が抗議)
内部被曝の情報:『チェルノブイリから学ぶこと』菅谷昭松本市長 講演会 in 福島
http://www.ustream.tv/recorded/17868965
(チェルノブイリでは、内部被曝が様々な疾病を引き起こしていると考えられる)
医師会も問題を指摘
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110512/bdy11051221520000-n1.htm
(基準20mSV/年に対する懸念)
『放射性汚染物質対処特措法施行に当たっての会長声明』
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110920.html
(少なくともセシウム137が100ベクレル/kg以上であれば、放射性廃棄物として扱う)
松本市、学校給食で放射線測定 ウクライナ基準を採用
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20111004/CK2011100402000118.html#
(独自基準を適用)
市民放射能測定所
(国の検査に不安を持つ市民が、測定所を設置。横浜市や県内各所に動きあり。横須賀市では市議会議員が積極的に動いています。)
以上。
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